WikiLeaksから読み解くキーワードと日本
2009年12月27日から30日にかけて、ウィキリークスがドイツ・ベルリンのBCC国際会議場で『26c3』というカンファレンスを行った時のプレゼンテーション動画の文字起こし(part2)です。
リークされた機密文書などから客観的事実を知る意味
WikiLeaks Release 1.0 日本語字幕付き (2/7)
ダニエル・シュミット:そろそろ一般のドイツ人もこのことをきちんと話し合うべきです。
これは、僕らドイツ人全員が決断しなきゃいけないことなんです。問題は、自分がそこにさんかするかどうか。そして、決断するには、全ての事実を知る必要があります。
この件についてのNATOの報告書を持っている人はいませんか?これを聞いていたり、持っている人を知っている人はいないでしょうか?
別の報告書があれば、事件の全体像が見えやすいし、責任者に圧力もかけやすくなります。
911ポケベルメッセージ50万件以上傍受
じゃあ、次は911について。
ジュリアン・アサンジ:知っている人もいると思いますが、先日、50万件を超えるポケベルのメッセージを公表しました。
9月11日の午前3時から12日の午前3時の間に傍受されたものです。
ダニエル・シュミット:2001年のね。
ジュリアン・アサンジ:2001年の。これらのメッセージは、完全に客観的かつ正確に見せてくれています。あの日、交わされたやりとりをね。シークレットサービスからのメッセージやニューヨーク警察や医師などの反応も含まれています。
同時に興味深いのが、これを取り巻く文脈です。米国の4大ポケベル網上の更新を誰かが傍受していたという事実。事件の起きる前からですよ。朝の3時から、一日中です。
これを公表したとき、僕らは政治批判という新しいアートの形を創造しました。リアルタイムで公表したんです。つまり、24時間かけて実際の通りにね。
それによって、人々は事件の進展を時間に沿って理解しました。911陰謀説に興味がある人には、それが生まれた経緯が分かる。コンドリー・ライス長官が出張を取りやめた様子も読めるし、爆発があったことを人々が話しているのも。
マスコミが誤報したのも、なにもかも見えるんです。政府の安全保障期間のご都合主義的もね。
このことが今の政治的状況に繋がったんだと僕は思います。この1日の様子から、遅ればせながら、この歴史的事件の動きが見えてきます。
WikiLeaksリンク先(9/11 Pager data)
これを公表するのは大変でした。関心のある人がすごく多くて、実を言うと、重大な書類を発表して、サーバーがダウンしなかったのはこれが初めてでした。
ダニエル・シュミット:覚えている人もいるかもしれませんが、協力を要請しました。膨大なデータ量になるのは分かっていましたから、約4テラバイト分のテキストメッセージを処理しました。
すごい数の人が読んでいました。これは最初のほんの数日間の数字ですが、どれほど多くが注目しているかの目安になりました。これを公表したことを批判しながらも、24時間これを読んでいた人もたくさんいました。反対だと言いながらもね。
ジュリアン・アサンジ:実は、実際にポケベルでメッセージを送った人で、苦情を言った人は一人もいません。
ダニエル・シュミット:そう。大事な点だよね。
ジュリアン・アサンジ:テロと同様、プライバシーも大げさに言われがちだけど、大事なのは当事者であり、当事者は気にしませんでした。少なくとも、僕らに苦情を言うほどにはね。
ダニエル・シュミット:そう。その通り。あの箱、まだまだ回ってる?みんな、紙を取ってるよね?OK。次で最後です。
欧州安全保障戦略に隠された驚愕の内容
公表した書類はたくさんありますが、これは僕個人的にすごく重要だと思います。欧州連合安全保障研究所の戦略報告書です。
知らなかった人、聞いてください。欧州の安全保障政策を担当するシンクタンクが書いたものです。彼らはその件での権威です。
彼らがまとめた2020年までの欧州の安全保障政策がこれです。この先11年間ですね。
彼らの結論は、地球上の2割がグローバライザーであること。これは先進国と多国籍企業のことです。あとの8割はローかライザーで、我々の富を脅かすと言うのです。
貧しくて、不満で、ますます不満を募られているからです。
そこで彼らは、欧州連合軍と警察を作り、貧困層と戦おうと提唱します。さらに、熱帯雨林などの地球資源を獲得し、それが位置する国から取り上げるべきだと言うのです。我々もその資源が必要だから、誰も勝手に使ってはいけないと。
彼らはヨーロッパを壁で囲もうと言っています。誰も入れないようにするのだと。これらがすべて180ページに及ぶ報告書に書かれています。とても詳細に。読みやすくはないけど。
どんなに異常な人たちが欧州の未来を計画しているか分かります。ここにいる人全員が、その社会の一員になるんですよ。
僕らが自問しなきゃいけないのは、このことを知りながら黙認し、そういう社会で生きたいのか、ということです。
我々は途上国を搾取してきたし、そのおかげで豊かなわけです。でも、それをいつまでも続けるのか、それとも借りを返そうとするのか、どちらが正しいでしょう?
これが重大なことだと思うのは僕だけじゃないだろうけど、もう一度言っておく価値があると思いました。
WikiLeaksリンク先(EUISS: What ambitions for European defence in 2020, Jul 2009 - WikiLeaks)
この報告書は非常に複雑だし、専門的で読みづらいので、読んだ人はごく少数です。情報を公開しても埋もれてしまう。180ページを読み通そうという人はいないですし、みんな欧州安全保障戦略のなんたるかを知らないから、これは無視して、もっと分かりやすいものを読むんです。
だけど、これはすごく大事なことです。クンドゥス同様に、みんなに考えて欲しいです。僕らはそんな未来に生きたいでしょうか?
米国特殊部隊の不正規戦マニュアル
ジュリアン・アサンジ:ダニエルの言ったように、時に難しいのは、複雑そうな情報を手に取ってもらうことなんです。僕がよく使う例は、2008年9月に米国特殊部隊が発行した不正規戦のマニュアルで、数百ページあります。
これは頭脳集団向けに書かれています。特殊部隊が海外へ行き、その国の政府を転覆させようとしたり、あるいは、民間軍を後ろから操って、内乱を制圧するときのために。
つまり、内乱の起こし方と制圧の仕方のマニュアルです。
チョムスキーにマイナス1を掛け合わせたみたいな感じで、難解なものです。米国の国力を示す手段の全てが書かれています。
経済的、軍事的、情報的、外交的な意味での国力です。
それらをいかに総動員して、米国の政策を押しつけるか。IMFは米国の国力を示す経済兵器であるとも書かれています。
WikiLeaksリンク先:(Category:US Department of Defense - WikiLeaks)
そう、経済兵器という擁護を使っているんです。また、USAIDも経済兵器です。
でも、この書類はマスコミにはまったく取り上げられません。
(続く)
「米国の4大ポケベル網上の更新を誰かが傍受していたという事実。事件の起きる前から」「コンドリー・ライス長官が出張を取りやめた」「マスコミが誤報」911陰謀論という言葉、実は「陰謀論」でレッテルを貼るというのは、どうもCIAが始めたようです。
ネタ元となっているLance Dehaven-Smith氏はフロリダ州立大学の行政・政策を専門とされている教授のようです。
・ホームページリンク先(Lance Dehaven-Smith)
それと、特に注目したいのは、「経済的、軍事的、情報的、外交的な意味での国力」「それらをいかに総動員して、米国の政策を押しつけるか。IMFは米国の国力を示す経済兵器である」「また、USAID(アメリカ合衆国国際開発庁 - Wikipedia)も経済兵器です」
なぜ注目するのかと言えば、ウィキリークスが2009年にプレゼンを行ってから現在に至るまでに起こった世界情勢と無関係ではないと思うからです。もちろん、日本も例外ではなく。
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